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不本意な異動を武器に変える!SRE視点で「非効率な作業」を「成果」に繋げ、ITエンジニアがキャリアを再構築する3つのフェーズ戦略

#キャリアハックWikiblog

大規模システムのスケーラビリティ改善に情熱を燃やしていたのに、不本意な異動でレガシー保守や運用管理がメインに。最新技術から遠ざかり、「繰り返しの多いルーティンワーク」に追われる日々に「このまま技術者としてのアイデンティティが失われるのでは?」と強い不安を感じている実務経験豊富なエンジニアの方へ。
この「不本意な状況」をキャリアの停滞ではなく「キャリアの深度が増す機会」と捉え直し、レガシー理解×改善×SREの専門性で市場価値を証明するための具体的なステップを知りたいと考えていることでしょう。
本記事では、現状を打破するための技術的・非技術的な戦略を、モダナイズを語れるSREとしての市場価値を証明する具体的戦略としてご紹介します。特に女性エンジニア特有の課題への視点も交えながら、あなたの「異動」をキャリアを再構築するための強力な武器に変える道筋を、やさしく丁寧にご紹介します。
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  1. 結論:不本意な異動は「キャリアの終わり」ではなく「キャリアの深度が増す機会」
    1. ▷キャリアの停滞ではない
    2. ▷求められる視点の転換
    3. ▷具体的な目標設定
  2. 希望外の異動で「技術的な熱意の行き場を失った」エンジニアの背景と現状
    1. ▷現場のリアル:大規模からレガシー保守への落差
    2. ▷現場あるある:なぜレガシーシステムで「非効率な作業」が増えやすいのか?
      1. 1.システムが重要すぎるゆえの保守的文化
      2. 2.大規模システム特有の「タスクの細分化」
      3. 3.属人化と評価軸の不明確さ
    3. ▷キャリアの自信喪失と「技術的成長の停滞」への懸念
    4. ▷誤解されやすいポイント:保守と運用の違い解説とSREへの接続
  3. 不本意な状況から専門性・影響力を再構築する具体的なステップ(3つのフェーズ戦略)
    1. 【フェーズ1】レガシーの内部構造を理解し、再現性のある改善の土台を作る(最初の3〜6ヶ月)
    2. 【フェーズ2】負債を改善し、モダナイズの基礎筋力を証明する(次の6ヶ月)
    3. 【フェーズ3】モダナイズを語れるSREとしての市場価値を証明する(1年後以降)
  4. 専門家が指摘するキャリア停滞の「落とし穴」と注意点
    1. 落とし穴1:自己研鑽と業務が乖離しすぎる
    2. 落とし穴2:異動を「他人事」と捉え、被害者意識に陥る
    3. ▷レガシーシステム改善の技術的側面
  5. 女性エンジニア特有の課題とキャリアの選択肢を増やす視点
    1. ▷女性エンジニア特有の課題/文脈への理解
      1. 疑念への対応
    2. ▷キャリアの停滞が市場価値の低下に直結するのではないかという焦燥感
      1. 誤解されやすいポイント
    3. ▷選択肢を増やす姿勢
      1. 戦略的な行動
  6. よくある質問(Q&A形式)
  7. まとめ
      1. 💡SREの具体的な業務と展望を知る
  8. WAKE Careerはあなたの挑戦を応援します。
      1. 私たちのミッションは、「“なりたい”を解放する」。

結論:不本意な異動は「キャリアの終わり」ではなく「キャリアの深度が増す機会」

▷キャリアの停滞ではない

まず、あなたの異動はキャリアの停滞ではありません。むしろ、この状況はレガシー理解×改善×SREの専門性で市場価値を証明するチャンスです。
多くのエンジニアが最新技術を追いかける中で、企業の根幹を支えるミッションクリティカルな大規模レガシーシステムを深く理解し、その信頼性を根本から改善できるエンジニアは極めて稀少です。

▷求められる視点の転換

あなたの武器は、最先端の華やかな技術ではなく、SREとしてのスキル(信頼性、自動化、効率化)をレガシーシステムに応用し、「モダナイズ推進」という新たな専門性を築くことです。
レガシーシステムの効率化や安定稼働への貢献は、一見地味ですが、企業の収益に直結する最も重要な領域です。この経験を通じて、あなたは単なる開発者ではなく、「システムの信頼性責任者」としての市場価値を獲得できます。

▷具体的な目標設定

あなたのキャリアを再構築するための道筋は、以下の3つのフェーズに沿って具体的な計画を立てることで可視化できます。

  1. レガシーの内部構造を理解し、再現性のある土台を作る
  2. 負債を改善し、モダナイズの基礎筋力を証明する
  3. モダナイズを語れるSREとしての市場価値を証明する

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希望外の異動で「技術的な熱意の行き場を失った」エンジニアの背景と現状

▷現場のリアル:大規模からレガシー保守への落差

華やかな最先端技術や革新的な開発から、現状維持がメインの保守運用へのシフトは、技術を極めたい人にとって「技術的な好奇心を満たす挑戦機会の喪失」と映りやすいものです。
しかし、SREの視点から見れば、レガシーシステムは「問題の宝庫」であり、改善の余地が最も大きい「フロンティア」と再定義できます。

▷現場あるある:なぜレガシーシステムで「非効率な作業」が増えやすいのか?

レガシーシステムは、企業の根幹を支えるミッションクリティカルな大規模システムであるケースが多く、その重要性と規模ゆえに、技術者にとって負荷の高い構造的な問題が生じます。

1.システムが重要すぎるゆえの保守的文化

安定稼働が絶対的な最優先事項となるため、「何かを変える」ことへの心理的・手続き的なハードルが極めて高くなります。結果として、技術的な挑戦やモダナイズの提案機会が極端に少なくなる傾向があります。

2.大規模システム特有の「タスクの細分化」

関わる組織や人員が大規模であるため、システム全体の改善ではなく、「アラートの一次対応」「設定情報の定期的な手動確認」「ログの二次チェック」といった、繰り返しの多いルーティンワークが、多くのメンバーに細かく振り分けられます。

3.属人化と評価軸の不明確さ

複雑なシステムの暗黙知(属人化)により、本来は自動化できるはずのプロセスが手作業のまま放置されやすくなります。また、評価軸が「問題を起こさないこと」になりがちで、エンジニアが求める「再現性のある改善」や「技術的な深掘り」が阻害され、付加価値の低い局所的なタスクに多くの時間が割かれる状態に陥るのです。

▷キャリアの自信喪失と「技術的成長の停滞」への懸念

「技術トレンドから取り残され、知識のアップデートが停滞するのではないか」「技術者としての伸びしろがこの環境で失われるのではないか」という焦りは、技術を極めたいがゆえの自然な不安です。
この不安を解消するには、後述のフェーズ2で実践するような「運用負荷の削減」や「SLO/SLIの改善」を、モダンなツール(Python, IaCなど)を使って数値で残し、技術的な成長を自律的に継続していることを証明しましょう。

▷誤解されやすいポイント:保守と運用の違い解説とSREへの接続

エンジニア同士の会話では、「保守」はシステムの機能変更やバグ修正、「運用」は安定稼働のための日常的なタスクを指すことが多いです。
専門性向上への新たな道として、特に「運用」は、SREの概念を導入し、自動化や効率化のスキル(IaCやRunbook Automationなど)を活かせる「システム信頼性工学のフロンティア」であると捉えるべきです。
このレガシー環境で得られる「システムの深い理解」と「信頼性改善の定量実績」は、最新技術を扱うエンジニアにはない、技術の幅を広げる独自の専門性として、フェーズ3で証明すべき市場価値につながるのです。


不本意な状況から専門性・影響力を再構築する具体的なステップ(3つのフェーズ戦略)

この3つのフェーズ戦略を実行することで、あなたは「単なる保守作業者」という受け身の立場から、「システム全体を理解し、能動的に改善計画を立案する戦略家」へと立ち位置を変えられます。

【フェーズ1】レガシーの内部構造を理解し、再現性のある改善の土台を作る(最初の3〜6ヶ月)

現場の状況をSRE視点で定量化し、今後の大規模なモダナイズ推進に向けた確固たるデータと知識の土台を構築します。

  • MTTR(平均復旧時間)の即効性改善:
    • 主要3カテゴリの障害について、MTTRを15〜25%改善する。
    • 障害復旧手順書を5本整備し、属人化を数値で削る。
  • アラート品質の改善(ノイズ削減):
    • アラート誤検知を30%削減する。
    • アラート総数を20%削減し、正常運用の線引きを可視化する。
  • 暗黙知の可視化:
    • 属人化された運用手順書を10件ドキュメント化(100%更新)し、知識を組織に残す。
    • 構成図を現行化(100%更新)する。

【フェーズ2】負債を改善し、モダナイズの基礎筋力を証明する(次の6ヶ月)

フェーズ1で得た理解と定量データをもとに、具体的な「改善による工数削減」と「サービスの信頼性向上」にフォーカスします。この6ヶ月の数値がそのまま「職務経歴書に刺さる成果」になります。

  • 運用負荷の削減:
    • 手動作業5件を自動化し、月15時間の固定削減を達成する。
    • 夜間・休日アラートを25%削減する。
  • SLO/SLIの改善(サービスの信頼性向上):
    • 主要サービスの稼働率を99.0% →99.4%に改善。
    • バッチ成功率を95% →98%に改善。
  • パフォーマンス改善:
    • バッチ処理時間を30%短縮する。
    • DBの重いクエリTOP5を調査し、平均遅延を40%改善する。
  • 可観測性強化(Observability):
    • メトリクス項目数を10 → 25項目に増やす。
    • ログ種類を3 →6種に増やし(障害検知を数値化しやすくする)。

【フェーズ3】モダナイズを語れるSREとしての市場価値を証明する(1年後以降)

フェーズ1と2の定量実績を武器に、組織内での影響力と専門性を確立し、希望するモダンなプロジェクトへ進出する準備を整えます。転職市場での評価が跳ねる状態を目指します。

  • 大規模改善テーマでの成果:
    • システム全体のアラート量を50%削減する。
    • 運用工数を年間180時間削減する(=自動化の固い実績)。
    • ミッションクリティカル領域でのSLOを99.5%以上で安定運用する。
  • モダナイズに向けた PoC / 改善提案:
    • 監視基盤刷新、IaC化、ログ整備、イベント駆動化などの改善案を4件以上 PoCまたは改善レポートとして提出する。
    • PoCのうち1件以上を実際に導入までリードする。
  • "レガシー理解 × 改善 ×SRE" の専門性を可視化:
    • 技術ナレッジ or 改善ログの記事を月1本(年間12本)公開する。
    • 半年ごとに「レガシー改善ロードマップ」を更新する。
    • 1年後、職務経歴書に改善実績10項目以上を掲載できる状態にする。

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専門家が指摘するキャリア停滞の「落とし穴」と注意点

落とし穴1:自己研鑽と業務が乖離しすぎる

注意点: 業務外で最新技術を追いかけるだけでなく、業務内でのレガシーシステム改善にこそ、その最新技術を応用できないかを考える姿勢が重要です。例えば、PythonやTerraformなどのモダンなツールを、レガシーなインフラ管理の自動化に活用するなど、橋渡しを意識しましょう。

落とし穴2:異動を「他人事」と捉え、被害者意識に陥る

専門家としての注意点: 会社の決定に不満を持つことは自然ですが、そこで立ち止まってはいけません。能動的に課題を見つけ、改善提案を行う「プロアクティブな姿勢」こそが、組織内での評価と、何よりあなたのキャリアの進展につながります。

▷レガシーシステム改善の技術的側面

レガシーシステム改善の核は、SREのプラクティスを旧環境に適用することにあります。例えば、レガシーシステムにおけるオブザーバビリティ(可観測性)の導入は、複雑なログやメトリクスを収集・分析し、システムの現状を可視化します。また、Infrastructure as Code(IaC)による設定の透明化は、手作業によるミスを減らし、安定稼働の土台を再構築する具体的な方法論です。


女性エンジニア特有の課題とキャリアの選択肢を増やす視点

▷女性エンジニア特有の課題/文脈への理解

不本意な異動が、将来的なライフイベントを考慮した「暗黙の配慮」から来ているのではないかという疑念は、キャリアを真剣に考える方ほど抱きやすいものです。

疑念への対応

  • 曖昧な意図を排除し、「異動の判断基準」と「期待する成果」を上長と明確に言語化して記録に残すことが重要です。
  • 期待成果を定量的なSRE目標(前述のフェーズ1〜3)に置き換えることで、あなたのプロフェッショナルな姿勢を示せます。

▷キャリアの停滞が市場価値の低下に直結するのではないかという焦燥感

誤解されやすいポイント

技術力=最先端技術ではありません。レガシー環境で培った「問題解決能力」「システムの根幹を理解する能力」「プロジェクト推進力」は、むしろ技術の幅を広げる独自の市場価値として評価されます。特にミッションクリティカルなシステムを扱った経験は、多くの企業が喉から手が出るほど欲しがっているスキルセットです。

▷選択肢を増やす姿勢

戦略的な行動

ライフイベントはキャリアの「一時停止」ではありません。フェーズ1〜3で実績を積んだ上で、その成果を元に「柔軟な働き方」や「リモートワーク」を前提とした部署移動/転職を提案する戦略を取りましょう。この実績が、あなたの希望を叶える交渉材料となるのです。

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よくある質問(Q&A形式)

Q1: 異動から半年経ちますが、何も成果を出せていません。今からでも挽回できますか?
A1: もちろんです。挽回は可能です。今日からフェーズ1の「暗黙知の可視化」と「アラート品質の改善」から着手してください。特に、運用手順書や構成図の整備は、あなたの能動的な姿勢を示す即効性の高い成果です。小さな成功体験を積み重ね、自信を再構築しましょう。
Q2: 「異動は会社の都合」と割り切って、転職活動に集中すべきでしょうか?
A2: 焦らず、まずは今の環境で最低限の「実績」を作ることが賢明です。レガシー環境での具体的な改善実績(フェーズ2の運用工数削減など)は、転職市場において非常に強力な武器になります。今の職場で3ヶ月〜6ヶ月かけて定量的な成果を確保してから活動することで、あなたの市場価値は大きく跳ね上がります。
Q3: レガシーシステムの改善実績は、転職時の技術評価でどのようにアピールすれば良いですか?
A3: SREのフレームワークを使ってアピールします。「単なる保守」ではなく、「IaCによる構成管理の透明化」「メトリクス拡充によるオブザーバビリティ向上」「MTTRを〇〇%改善した」といった、改善前後の数値とSRE用語を組み合わせて具体的に語りましょう。最新技術そのものではなく、「改善のプロセス」と「成果の定量性」を強調してください。
Q4: 部署のメンバーが「非効率な作業だから」とモチベーションが低い場合、どう影響力を発揮できますか?
A4: チームのモチベーションを上げるには、まずあなたが主導して「小さな成功体験」を提供することが重要です。フェーズ2の「手動作業の自動化」で、メンバーの工数を削減し、「定時に帰れるようになった」「手作業でのミスが減った」といった具体的なメリットを実感させることから始めましょう。SRE的な改善は、チームの働き方改革に直結するのです。


まとめ

不本意な異動は、あなたのキャリアの終わりではなく、「キャリアの深度を増す最大の機会」です。
あなたが今いる「レガシーの現場」は、SREの専門性を発揮できる、最も影響力の大きなフロンティアです。最新技術への憧れは胸に抱きつつも、まずは目の前の非効率な作業を「データ」に変え、それを武器に「モダナイズを語れるSRE」という、稀少で市場価値の高い専門性を築いてください。
レガシー理解 × 改善実績 × SRE的視点というあなた独自のスキルセットは、きっとあなたのキャリアを再構築し、次のステージへの扉を開くでしょう。

💡SREの具体的な業務と展望を知る

過去にWAKE Careerが主催したSRE勉強会では、SREの役割・業務内容・キャリアのリアルを解説しました。
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WAKE Careerはあなたの挑戦を応援します。

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