9,000万DLのTVerで、SREからバックエンドへ。SES・SIerを経て可能性を広げるエンジニアの現在地|エンジニアインタビュー<株式会社TVer 藤岡里美さん>
#女性エンジニアインタビュー
※この記事は、WAKE Careerのnoteにて掲載した記事の転載です。
元記事:https://note.com/bgrass/n/nbe2fcd3a4f11
体育系の大学を卒業後、ブライダルの接客業を経てエンジニアにキャリアチェンジした藤岡里美さん。SES企業(以下、SES)でインフラエンジニアとしてのキャリアをスタートし、システムインテグレーター(以下、SIer)でクラウドの領域へ踏み出したのち、2024年9月に株式会社TVerへ入社しました。
現在はバックエンドエンジニアとして、TVerの番組配信を支える編成システムの刷新プロジェクトに携わっています。「まだまだこれから」のフェーズだからこそ面白い──そう語る藤岡さんに、SES・SIerから事業会社への転職のリアルと、TVerで働く日々についてお話を伺いました。
プロフィール
藤岡 里美(フジオカ サトミ)
大学卒業後、接客業などを経験したのちに、2020年からエンジニアにジョブチェンジ.SES, SIerを経て2024年9月に現在の株式会社TVerに入社。インフラエンジニアとしてオンプレやクラウドを経験し、現在はバックエンドエンジニアとして、放送局や外部パートナー企業との連携システムの開発と、既存システムのアーキテクチャ刷新に関わる業務を担当している。
接客業からSES、SIerへ──「知らなかったから飛び込めた」
──エンジニアになる前は、どのようなお仕事をされていたのでしょうか。
もともと体育系の大学に通っていて、保健体育の教員になることも考えていました。ただ、在学中に方向転換をして、大学時代にアルバイトをしていた結婚式場の仕事が楽しかったこともあり、ブライダル系の接客業の仕事に就きました。そこで2年ほど働いたのですが、お客様は若い方が多いので、年齢を重ねたときに第一線で続けていけるのかなと考えるようになりました。
そこから将来を見据えて転職エージェントに登録したところ、提案された職種の中にエンジニアがあったんです。パソコンのスキルは大学でパワーポイントを使ったことがある程度で、コーディングに触れたこともありませんでした。ただ、エンジニアならスキルを身につければ長く働けそうだと感じましたし、当時は未経験からSESに入る人が多かった時期で。エンジニアという仕事について全然知らないからこそ、「やってみよう」という感覚で飛び込みました。
──エンジニアに転じて1社目はSES、2社目はSIerで仕事をされています。それぞれの会社で、どのような経験を積まれたのでしょうか。
最初のSESでは、クライアント企業に常駐するオンプレミスのインフラエンジニアとして2年間働きました。その会社では2カ月の研修を終えるとさっそくクライアントのもとで仕事をすることになるのですが、未経験だったので最初は業務の進め方も専門用語もわからないことだらけでした。ただ、常駐先の方々がとても親切で、わからないことも丁寧に教えてもらえたので乗り越えられました。サーバーの監視から構築、既存システムのアップデートまで、幅広い業務を経験させてもらいましたね。

次に移ったのが、Google Cloudを使ったシステム構築を専門とするSIerです。設立間もない20〜30人規模のベンチャーで、フルリモートの環境で沖縄や北海道に住んでいるメンバーもいました。ここではクライアント企業のクラウド環境を設計・構築する案件を複数並行で担当しながら、クラウドエンジニアとしてのスキルを2年かけて身につけていきました。在籍時は技術ブログでの発信も積極的に行っていて、その実績がGoogleに評価されてパートナー企業向けの表彰を受けたこともあります。
一方、SIerではお客さんにシステムを納品したらそこで関係が終わり、また次のお客さんの案件に移るという働き方の繰り返しでした。「サービスを運用する中でしか得られない知見を経験しないままでいいのだろうか」という思いが強くなり、次は事業会社で働こうと決めました。
「めっちゃ使ってる」が最初の印象だった、TVerとの出会い
──SES、SIerでの仕事を経て、TVerに転職されました。そもそもの出会い、そして転職先としてTVerを選んだ理由を教えてください。
事業会社に絞って転職エージェントに相談していた中で、紹介されたのがTVerでした。自分自身がサービスのヘビーユーザーだったので、最初の印象は「あ、めっちゃ使ってる」でした(笑)。
そこからTVerで働いているエンジニアの方々について調べてみたところ、開発基盤にGoogle Cloudが使われていることがわかり、前職のスキルとの接点がありそうだと感じて応募を決めました。転職先の候補としていくつか会社を検討していたのですが、最終的にTVerへ入社する決め手になったのは、やはり「自分がいちばん使っているサービスだから」という点でした。
選考のプロセスで印象的だったのは、面接の中で「まだまだこれからのフェーズだよ」と率直に話してくださったことです。
現在は累計9,000万ダウンロードを超えましたが、それだけ規模の大きなサービスなので、すでに整った組織で運営されているものだと思っていて。なので、そこは意外でしたね。一方で自分自身は、SESでもSIerでも未経験の領域にゼロから飛び込んでキャッチアップしながら仕事をしてきたので、整いきっていない環境のほうがむしろ力を発揮できるかもしれないとも感じていました。
セキュリティ基盤の構築を経て、バックエンドエンジニアへ転身
──TVerに入社後はまず、どのような業務からスタートしたのでしょうか。
最初は、サービスの安定稼働やインフラの運用を担うSREチームに所属しました。TVerではサービスの急成長に伴い、セキュリティのリスク分析やツール選定が担当者個人に依存していて、統一した管理体制が整っていない状態だったんです。そこで、各サービスのログを一元的に収集・分析して脅威を検知できるセキュリティ基盤を新たに構築するプロジェクトが立ち上がり、その担当を任されました。

プロジェクトで導入されていたのがGoogleのセキュリティ製品だったので、前職の知識はある程度生かすことができました。ただ、TVerではGoogle Cloudだけでなく、AWSや他のSaaSなどさまざまなサービスからログを集約する必要があったので、それぞれの仕組みをイチから学びながら進めていきました。このプロジェクトで構築した基盤は今も運用されていて、他部署のセキュリティ担当者とも情報を共有しながら対策を進められる体制になっています。
──入社から半年間、SREチームでお仕事されたあと、現職となるバックエンドエンジニアへと転身されています。どのようなきっかけがあったのか、教えてください。
シンプルにやってみたいと思ったタイミングで、バックエンドエンジニアのポジションもあったためです。
TVerは領域をまたいだチャレンジに前向きな会社で、部署や職種を跨ぐ異動も比較的柔軟に行われているんですよね。SREとバックエンドは同じ部署なので手も挙げやすく、希望が通って入社半年で異動しました。現在はTVerの番組編成システムを刷新するプロジェクトで、設計や開発を担当しています。
バックエンドエンジニアとして仕事するのは初めてだったので、異動した当初は、考え方やレビューの観点の違いに戸惑うこともありました。
自分が出したプルリクエストにも多くのフィードバックをいただき、最初は内容を理解するのに苦労したことを覚えています。
ただ、その一つひとつが品質やユーザー体験を本気で良くしようとする視点のもので、学びの多い環境だと感じるようになりました。
自ら希望して挑戦した異動だったからこそ、周囲に助けてもらいながら必死にキャッチアップしていきました。加えて、わからないことは周囲に相談しつつ、他部署から問い合わせがあった際には「やります」と手を挙げて、自発的に対応していきました。
まわりは経験豊富なメンバーばかりですし、質問や相談に親身に答えてくれます。また自分で調べながら問い合わせ対応を繰り返すうち、少しずつシステムの全体像が見えるようになり、チームから任せてもらえる仕事の幅も広がっていきました。
部署を超えたつながりのもと、ドキュメントを通じて挑戦を後押し
──藤岡さんが現在携わっている番組編成システムの刷新プロジェクトは、どのように進められているのでしょうか。
プロジェクトでは、TVerで配信するコンテンツをより効率的に管理・配信するために、既存のシステムを今のサービスに最適化したかたちに作り変えています。そのためエンジニアのチームだけでは完結せず、各放送局の窓口になっている部署の担当者など、エンジニアではない方々との調整が欠かせません。

TVerは週3日の出社ルールがあるのですが、前職がフルリモートだった身としては、これが思った以上にプラスに働いています。
出社すると他部署の方とも自然に会話が生まれますし、入社してから意識的に色々なメンバーとつながりを作ってきたことが、今のプロジェクトで部署横断の調整をスムーズに進める土台になっていると感じています。その中でも、たとえば相手の立場によって必要な情報が異なるので、技術的な詳細をどこまで伝えてどこを省くかは常に意識しています。
開発については、バックエンドのチームには設計方針をドキュメントにまとめてチーム全体でレビューする文化があります。自分のチームだけでなく他のチームのメンバーもレビューに参加してくれるので、意図せず他チームが使っている部分に影響を与えてしまうリスクを事前に防げるんです。こうした仕組みは、未経験から今の仕事を始めた私には安心材料になっています。
またドキュメントを書くというのは、自分なりに調査や検討をして「こう進めたい」という方針を提案するということなので、単に指示を受けて実装するだけではなく、裁量を持って意思決定に関われる点にも面白さを感じています。
エンジニアがビジネスを語る──SIer時代には想像できなかった文化
──実際にTVerで働いてみて、入社前に思い描いていた姿とギャップを感じた点はありますか?
SIer時代と比べて感じた違いが、大きく二つあります。
一つは、エンジニア一人ひとりがビジネスへの意識をしっかり持っていることです。
TVerでは、たとえばある機能をリリースしたあとに、ユーザーの再生数へどれくらいの影響があったかを数字で振り返り、エンジニア自身がその結果をチーム全体に共有するんです。SIerでは営業のメンバーが持ってきた案件の要件に準じて作業を進めるのが自分の仕事で、それがクライアントのサービスの成長にどうつながっているかを考える機会はほとんどなく、その違いには驚きました。
もう一つは、不具合対応のスピードです。SIerではシステムに不具合があっても、まずクライアント側で調査や方針の検討が行われ、それが済んでから修正の依頼が来るので、対応までに時間を要します。
一方、TVerではリリースした機能に不具合があった場合、原因の見当がついた時点でエンジニアが総出で調査に入り、修正版を出すのかリリース前の状態に戻すのかの判断まで一気に進みます。SIer時代と比べて意思決定から対応完了までのスピードが桁違いに速くて、これが事業会社のものづくりなんだなと感じました。

──普段の仕事の中で、やりがいを感じる瞬間はありますか。
TVerは無料で利用できるサービスなので、周囲でも「使ったことがある」という声を聞くことが多いですし、テレビ番組でも「もう一度ご覧になりたい方はTVerで」と案内されているのを目にするので、生活の中で自然と触れる機会の多いサービスだと感じています。
SREチームのメンバーが朝会で番組ごとの同時接続数を共有してくれるのですが、特定の番組でアクセスが一気に跳ね上がる様子を見たりすると、「この規模のサービスを自分たちが支えているんだ」という実感がわきますね。
「ちゃんと指摘してくれる」人たちと、目の前のことを着実に
──これからTVerで藤岡さんがやっていきたいこと、また今後のキャリアについてお考えはありますか。
私は「何年後にこうなっていたい」という明確なロードマップがあるわけではないんです。目の前のことを着実にやっていたら次の機会が巡ってくるというキャリアの積み重ね方をずっとしてきたので、今もまずは番組編成システムの刷新をやり遂げたいです。
──最後に、SES・SIerから事業会社への転職を考えている方やTVerに興味があるエンジニアにメッセージをお願いします。
TVerのメンバーはみんないい人なのですが、ただやさしいだけではなくて、たとえば設計に対して「ここはこうしたほうがいい」と的確に指摘してくれます。前の会社ではそこまで踏み込んだフィードバックをもらえる機会が少なかったので、私自身、技術面だけでなく仕事の進め方の面でもとても成長できていると感じています。
もう一つ感じているのは、エンジニアとして活躍するうえでは技術力だけでなく、「自分が携わるサービスをどうよくしていきたいか」という視点を持つのが大切だということです。
与えられた要件をこなすだけではなく、サービスの成長を自分ごととして考えられるかどうか。それが事業会社で働くということの核心なのだろうなと、TVerに来て強く感じています。

▼株式会社TVer・採用サイト
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制作:bgrass 株式会社
取材・撮影・執筆:加藤智朗 / 編集:尾崎美幸
