無意識の「内なる壁」と戦い続けるプロダクトエンジニア~粘り強い励ましによる「越境」への軌跡~|松本萌花さんインタビュー
#女性エンジニアインタビュー
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当社のビジョンは、『"なりたい"を解放する』。 ジェンダーギャップのあるIT業界で、女性・ITエンジニアがチャレンジを続け、自分の「なりたい」を解放することを応援しています。
このインタビューシリーズでは、女性・ITエンジニアとして現在ご活躍されている方に、現在に至るまでの失敗やバイアスからのしくじりなどをお聞きします。 読者の皆さんが、「こんなにすごい人でも、こんな葛藤があったんだ!」「こんなキャリアもあるのか、楽しそう!」と参考にできるような記事をお届けしています!
今回はシリーズ第23弾です。(過去記事バックナンバー #16以降, #1~#15)
今回インタビューをさせていただいたのは、アセンド株式会社でリードプロダクトエンジニアとしてご活躍中の松本萌花さんです。
リーダー就任時には「内なる壁」に苦悩したという松本さん。「私で良いのだろうか?」という葛藤を抱えながらも、アセンドの環境、上司からの励まし、そして「事業」を主語にすること、「アンコンフォータブル!」と宣言することで、壁を乗り越え、"越境"できるようになってきたのだそう。
この記事では、 「内なる壁」に悩むエンジニアの女性へ、壁を乗り越えることの大切さと、得られる自信、将来への希望について語っていただきました。
どうぞお楽しみください!
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私で良いのだろうか。無意識の「内なる壁」があった
ーーこれまでのキャリアと現在のお仕事を教えてください。
2017年に新卒で大手Sler企業に入社、バックエンドエンジニアとして、Webアプリケーションの開発に従事してきました。その後は、2022年7月にアセンド株式会社に転職し、オールインワン運送管理SaaSロジックスの開発をしています。主に、 請求・労務・車両管理等、ドメインが違う複数領域の0→1の立ち上げを担当し、現在はリードとしてチームを束ねながら、立ち上げた領域の1→10の開発に邁進しています。
ーー大手Slerからスタートアップへの転職となりますが、何かきっかけはありますか?
元々、人の課題を解決する経験が積みたくて大手Slerに入社したのですが、Slerのビジネスモデルでは、顧客の課題にフォーカスした本当に良いシステム開発に向き合いにくいと気付いたためです。
SIerは、一般的に、エンジニアの稼働工数が売上になる仕組みをとっています。つまり、開発に時間をかければかけるほど、事業としての売上は伸びていくというビジネスモデル。このような環境下では、組織的に技術力を磨いて生産性を向上させたり、ユーザーにとって本当に価値のあるモノ作りに真剣に向き合うインセンティブや文化が醸成されないと感じ、転職しました。私は、良いプロダクトを作って課題を解決したい想いが強いんです。
ーー現在リードエンジニアをされていますが、リーダーというポジションはいかがですか?
今は、リーダー職を楽しんでいます。ただ、任命された当初は、リーダーになりたかったわけではありませんでした。周囲の方が、私の得意や才能を見つけて引き上げてくれたのかな、と。
私は、自分のコンフォートゾーンを抜け出さないとやり切ることができない仕事が発生した時、「本当に良いのかな...?」と、無意識に引いてしまう傾向があるんですよね。リーダーを依頼された時も、「私ではなく、別の方が適任なのでは...?」と反射的に思ってしまうというか。私の中に、無意識の「内なる壁」があるんです。
元Facebook COOであるシェリル・サンドバーグさんが、なぜ女性のリーダーは少ないのか?という点で「内なる壁」に言及しており、強く共感しています。
社会に築かれた自分の外の障壁に加えて、女性は自分の中の障壁にも行く手を阻まれている。私たち女性は大望を掲げようとしない。それは自信がないからでもあるし、自ら名乗りを上げようとせず、一歩踏み出すべきときに引いてしまうからでもある。私たちは自分の内にネガティブな声を秘めていて、その声は人生を通じて囁きつづける。(中略)女性が力を手にするためには、この内なる障壁を打破することが欠かせない――これが、私の主張である。
(『LEAN IN(リーン・イン)女性、仕事、リーダーへの意欲』シェリル・サンドバーグ著、村井章子訳、日本経済新聞出版社、2013年、P15、P16)
私自身、過去に、仕事や人間関係で何かのトラブルやトラウマがあるわけではないんです。むしろ、環境にも恵まれ、周りからも評価されていたかと思います。けれども私の本能が、どうしても壁を作ってしまうことを繰り返してきました。
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スタートアップでプロダクトエンジニアという環境。粘り強い励ましにより、「越境するしかない」と吹っ切れた
ーー内なる壁を超えるきっかけは何かありましたか?
まず、アセンドに転職し、業務範囲が大きく広がったことです。アセンドでは、フルスタックかつフルサイクルのエンジニア、これを当社ではプロダクトエンジニアと呼びますが、フロントエンド・バックエンド・デザイン・ビジネスなど、顧客に価値を提供するために、あらゆる領域に越境してプロダクトを開発します。コードも、前職の10倍は書いていると思いますね。前職で気付いたSlerのビジネスモデルとは異なり、良いプロダクトを作るために邁進できています。
ーー他にも、環境による変化はありますか?
アセンドでは、上司や社長から「守りに入っている」と内なる壁を指摘されつつ、半期ごとにある目標設定で的確なフィードバックがありました。加えて、「自分がもし松本さんだったら、もっと上に行っている」「松本さんならもっとできる」と、守りに入りがちな私を粘り強く励まし続けてもらったんです。前職のフィードバックは割と淡々としていたため、この「もっといける」というフィードバックは、嬉しさもありつつ驚きましたね。
また大手では、最終の意思決定や尻ぬぐいなどを会社がしてくれる傾向にありました。けれどもスタートアップのプロダクトエンジニアという立場では、最終決定も自分に委ねられており、私ひとりが及ぼす影響の大きさも段違いであることも自覚し始めました。
そんな環境の中で、周囲からの粘り強い励ましがあることで、だんだんと吹っ切れてきたんです。「もう逃げられないんだ。私が越境してやり切るしかない...!」と思えるようになりました。
主語を、私から事業に変えること、「アンコンフォータブル!」と叫ぶことで、越境できる
ーー吹っ切れたことで、現在は越境しやすくなりましたか?
もちろん以前よりは越境しやすくはなりましたが、つい感じてしまう「内なる壁」は、一朝一夕では0にはならないですね。息をするように越境できるようになったわけではなく、毎回戦っている感覚です。
ただそんな中でも、ふたつのコツに気づきました。ひとつは、主語を「私」から「事業」に置き換えること。私を主語にしてしまうと、どうしても怖さが生じてしまうのですが、主語を「事業」にしてみると納得感も増すんですよね。自分が怖いか云々が大事ではなく、事業として何をすべきかを考えた時、これは自分がやるしかない、と。一歩引いた鳥の目線になって考えるようにしています。
ふたつめは、「アンコンフォータブル!」と叫びながら踏み出すこと。これは、周囲へ「私は今、自信がないことをやろうとしています!」という宣言なんです。周囲に認知してもらうことで、私は越境しやすくなるんです。
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ーー周囲の方を、うまく巻き込んでいるんですね。
そうですね、ただ以前は、周囲に頼ったり巻き込むことがすごく苦手でした。どれぐらいの塩梅で頼ったら迷惑にならないか、頭で考え過ぎてしまっていたんです。けれども、アセンドに入社し、以前とは全く違う範囲の業務をする中で、頼らないことによる失敗をしてしまって。
そんな中で、同僚の振る舞いを真似し始めたんです。その方は、驚くようなことをたくさんして評価されており、かつ巻き込み上手。元々の性格なので、すぐには頼ることが得意になったわけでもありませんが、振る舞いを真似する中で時間をかけて吹っ切れてきて。以前の10倍ぐらいは気軽に、課題や不明点を周囲に聞けるようになりました。そうすることで、自分だけの課題がチームの課題になり、事業のためになったりしますからね。
内なる壁と戦いながら、自身の力を発揮できる人を増やし日本を元気にしたい
ーー今後の展望を教えてください。
一歩踏み出そうとしている人を励まし、自身の力を発揮できる人を増やして、日本を元気にしていきたいと思っています。
私自身、アセンドでの環境や周囲の励ましによって、内なる壁を越境することができました。自分の影響範囲や解決できる範囲が明らかに広がり、とてもプラスになっています。だからこそ今度は、私が誰かを励まして、その人自身が持つ力を発揮してもらいたいと思っています。ただ、むやみやたらにお尻を叩くことではなく、一定のテクニックを身につけたり、相手に寄り添うことも大事だと思うので、自分自身の人間性も磨いていきたいですね。
その根幹には、日本を元気にしたい想いがあります。今の日本は、ワークライフバランスや自分らしさが主流になりつつあります。けれども、そこに気を取られすぎて「できる範囲で頑張る」という思考に陥ることなく、自分を超えた目線を身につけ一歩踏み出し、事業や社会のために自身の力を発揮できる人が増えれば、日本はもっと元気になると思うんです。そのためには私はまだまだ力不足なので、これからもっと越境していくことで、自分自身の力をつけていきたいです。
ーー働くエンジニアの女性へのメッセージをお願いします。
私と同じように、より成長できればという思いはあるものの、飛び込んで来た機会に対してつい引いてしまったり、同僚が前に前にと出て、気付いたら自分を超えているのを当たり前のように感じてしまう「内なる壁」に阻まれている方がいらっしゃるかもしれません。
この内なる壁を自覚し、越境することは簡単ではありません。一度越境したと思っても、壁がすぐになくなるわけではなく、以前は10あった私自身の内なる壁も、現在は6くらいになっただろうか、というところです。
それでも、この壁を突破して上に登っていくことで見える景色の広さ、できることが増える楽しさ、そしてなによりも、「自分もけっこうできるじゃん」と思える自信は、絶対にこれからの人生を豊かなものにしてくれるはずだと信じています。一緒に踏ん張りましょう!
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私のエンパワーメントルーティン
ーー松本さんのエンパワーメントルーティンを教えてください。
漫画を読むことです。SFなどを読むと自分の発想の幅が広がり、お仕事漫画を読むと私も頑張ろう!と思えます。
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インタビュー・執筆 くぼちゃん