
アプリ開発の経験を活かして、さらに一歩先のキャリアを目指したい方へ。
この記事では、実務に直結する資格やスキルアップのヒントを解説していきます。キャリアアップに役立つ知識が満載です。

アプリケーションエンジニアは、主にWebアプリや業務システムなどの設計・開発・運用を担う職種です。
スマートフォンアプリなどのモバイル開発は、モバイルエンジニアやモバイルアプリケーションエンジニアと呼ばれることもあります。
アプリケーションエンジニアは、設計や開発、テストからリリース後のサポートまで幅広く関わります。システム全体を設計するSE(システムエンジニア)よりも、アプリそのものに深く関わる点が特徴です。
平均年収は約599万円とされ、経験やスキルによってさらに上を目指すこともできます。

一口にアプリケーションといっても、目的や使われる場面によって種類はさまざまです。ここでは代表的な4つの開発分野について、それぞれの特徴と、あわせて学習や資格取得がどう役立つかもご紹介します。
Webアプリケーションは、ECサイトやSNSなど、ブラウザ上で使われるしくみを開発する分野です。画面のデザインや操作性を担うフロントエンドと、データ処理や認証などを支えるバックエンドの両方を扱うこともあります。
開発では、HTMLやJavaScriptなどのフロント技術と、PythonやPHPなどのサーバー側の言語が求められます。基本情報技術者試験などは、こうした技術の全体像を理解するうえで基礎になります。さらにHTML5プロフェッショナル認定試験のような、Web特化の資格もスキルの見える化に役立ちます。
企業の日常業務を支えるのが、売上管理や在庫、勤怠システムなどの業務系アプリケーションです。使用言語にはJavaやC#などが多く、要件定義から実装、保守まで幅広く関わることが特徴です。
業務知識に加えて、安定性や保守性を意識した設計スキルが求められるため、応用情報技術者試験のような実務寄りの資格が評価されやすい傾向があります。システム全体を設計・管理するスキルを学べるシステムアーキテクト試験も、上流工程を目指す際に役立ちます。
スマートフォンアプリは、iOSやAndroidといったモバイル端末向けに開発されます。iOSならSwift、AndroidではKotlinやJavaが使われますが、最近はFlutterやReact Nativeなど、複数OSに対応するクロスプラットフォームの技術も広まっています。
この分野では、見た目の美しさや操作性など、利用者の体験を大切にした開発が求められます。Android技術者認定試験や、Swift開発に関する資格(App Development with Swiftなど)は、自分の得意な領域を証明するうえで有効です。
組み込み系アプリケーションは、家電や車、医療機器などに内蔵されて動作するソフトウェアを指します。使われる言語はCやC++が多く、ハードウェアとの連携を意識した開発が必要です。
リアルタイム処理や省電力設計など、専門性の高い技術が求められるため、C言語プログラミング能力認定試験などの資格が一定のスキル証明となります。資格取得を通じて、業界で必要とされる知識の整理や理解にもつながるでしょう。

アプリケーションエンジニアとして成長していくには、技術力とあわせて、幅広い視点や現場感覚も欠かせません。ここでは、実務で求められるスキルと、それらを体系的に身につける助けとなる資格について整理します。
どのようなアプリケーションを扱う場合でも、まずは基本的な開発スキルが土台となります。たとえば、プログラミングの理解や論理的に物ごとを考える力は、すべての工程において必要です。
中でも、仕様を正しく読み取り、構造を理解したうえでコードを書く力は、最も基本的な部分にあたります。また、複数人で進めるプロジェクトが多いため、ドキュメント作成や簡潔なやり取りができることも大切です。
こうした土台を確認するうえでは、「基本情報技術者試験」のような資格が有効です。開発の基本的な考え方や仕組みを体系的に学び、実力の証明にもつながります。
アプリケーションが動く仕組みを理解するうえで、インフラやサーバーに関する基礎知識も身につけておくと安心です。特にWeb系のアプリケーションでは、サーバー側の処理やデータベースとの連携が欠かせません。
たとえば、ネットワークが混雑した際にどのような遅延が起こるのか、あるいはセキュリティ面で気をつけるべきポイントなどを把握しておくことで、より安定したシステム設計やトラブル対応が可能になります。
「応用情報技術者試験」などでは、こうしたインフラ寄りのテーマも扱われており、実務を支える知識の整理に役立ちます。
アプリケーションを作る目的は、単に動くものを作ることではなく、使う人や組織の課題を解決することにあります。そのためには、開発対象となる業界やビジネスの流れを理解しておくことが大切です。たとえば、製造業向けの業務アプリを開発するなら、その現場で何が求められているのか、どのようなフローで仕事が進むのかを知る必要があります。
業務系システムの開発に多く携わる場合は、「システムアーキテクト試験」のような資格を通じて、設計力や要件を正しくとらえる力を深めていく道もあります。ビジネス全体の流れを理解する視点が育つことで、将来のキャリアの幅も広がっていくはずです。

アプリケーションエンジニアとして働くうえで、必ずしも資格が必要なわけではありません。ただ、技術の裏づけを客観的に示したいときや、転職・キャリアアップを目指す場面では、資格が心強い後押しになることもあります。ここでは、実務に活かしやすく、信頼性の高い資格を分野別にご紹介します。
※一部の受験料は米ドルを円換算した目安です。為替や支払方法により変動します。
まずご紹介するのは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家資格です。多くの企業で評価されており、知識の幅広さや深さを測るうえで信頼性の高い試験です。
試験内容:情報処理技術者としての基本的な知識と技能を問う
開催時期:通年(CBT方式)
難易度:初級レベル
受験料:7,500円(税込)
IT業界の基礎を幅広くカバーした国家資格です。プログラミングやネットワーク、アルゴリズムなどの基本的な知識が問われます。
エンジニアとしての最初のステップとして受験する方が多く、未経験からキャリアをスタートした方や、基礎知識を見直したい方にもおすすめです。
公式サイト:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
試験内容:応用的な情報処理技術やマネジメント能力を評価
開催時期:年2回(4月第3日曜日、10月第2日曜日)
難易度:中級レベル
受験料:7,500円(税込)
基本情報の上位にあたる試験で、設計やセキュリティ、マネジメントの分野まで幅広く出題されます。実務経験があるエンジニアにとっては、日々の業務とリンクする内容も多く、知識の整理やスキルアップにもつながります。合格すれば一定の専門性があることを証明できるため、社内外の評価にもつながりやすい資格です。
公式サイト:スタディング
試験内容:システムの設計や開発に関する高度な知識を問う
開催時期:年1回(4月)
難易度:上級レベル
受験料:7,500円(税込)
より高度な設計スキルが求められる試験で、特に上流工程(要件定義や設計)のスキルを強化したい方に向いています。
難易度は高めですが、合格できればキャリアの選択肢が広がります。プロジェクトリーダーやアーキテクトを目指す方にとっては、大きなステップアップの証明になります。
公式サイト:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
実際の開発に直結するスキルを証明する、民間団体による資格も数多くあります。言語ごとの理解を深めたい方におすすめです。
試験内容:Javaプログラミングの基礎から応用までを評価
開催時期:年数回(詳細は公式サイト参照)
難易度:3級(初級)〜1級(上級)
受験料:3級 5,400円、2級 6,600円、1級 8,000円(税込)
Javaの文法や基本的な構造を理解しているかを問う試験です。3級から1級までレベル分けされており、自分の習熟度に合わせてステップアップできます。業務系のアプリケーションで広く使われている言語なので、実務に直結しやすい資格といえるでしょう。
公式サイト:サーティファイ
試験内容:C言語の基本的な知識とプログラミング能力を評価
開催時期:年3回(6月、9月、1月)
難易度:3級(初級)〜1級(上級)
受験料:3級 5,400円、2級 6,600円、1級 8,000円(税込)
組み込み系やハードウェアに関わる開発で使われることの多いC言語に特化した試験です。試験内容は実務寄りで、コーディング力やロジックの理解を確認できます。C言語の基礎を体系的に学びたい方にとって、良い学習の目安になる資格です。
公式サイト:サーティファイ
試験内容:Python 3の基本的な文法やプログラミング知識を問う
開催時期:通年(CBT方式)
難易度:初級レベル
受験料:一般 11,000円、学生 5,500円(税込)
近年注目されているPythonに関する認定試験で、文法やデータ処理に関する理解を問います。基礎試験では構文やライブラリ、データ型の知識を、データ分析試験では実務で使われる分析スキルが出題されます。AIやデータ活用に興味がある方にとって、今後のキャリアにも役立つ内容です。
公式サイト:Odyssey CBT 公式サイト
スマートフォンやWebサービスの開発に携わる方に向けて、より実践的なスキルを証明できる資格もあります。
試験内容:Androidアプリ開発に関する知識と技術を評価
開催時期:通年(CBT方式)
難易度:中級レベル
受験料:16,500円(税込)
Androidアプリ開発に必要なスキルを問う試験で、「アプリケーション技術者」と「プラットフォーム技術者」の2種類に分かれています。Android Studioの操作やAPIの理解など、実務に近い内容が出題されるため、Androidアプリ開発に携わる方には心強い指標になります。
公式サイト:プロメトリック
試験内容:Swiftを用いたiOSアプリ開発の基礎知識を問う
開催時期:通年(CBT方式)
難易度:初級レベル
受験料:一般 約12,980円、学生 約9,680円
Apple公式が提供する、iOSアプリ開発スキルの認定資格です。Swiftという言語を使ってアプリを開発するための基礎力が問われます。Apple製品向けのアプリ開発に関心のある方には、最適な資格のひとつです。
公式サイト:odyssey-com.co.jp
試験内容:HTML5を中心としたWeb技術の知識と実践力を評価
開催時期:通年(CBT方式)
難易度:レベル1(初級)〜レベル2(中級)
受験料:16,500円(税込)
Webアプリケーションやサイト制作に関する幅広い知識を証明できる資格です。HTMLやCSS、JavaScriptの理解に加え、セキュリティやマルチデバイス対応なども出題範囲に含まれています。フロントエンドエンジニアを目指す方や、Web系のプロジェクトに関わる方には役立つ資格です。
公式サイト:次世代Web言語の認定試験「HTML5プロフェッショナル認定試験」公式サイト

ここでは、資格取得のための学習について具体的な方法をご紹介します。日常の生活や働き方に合わせながら、無理なく取り入れられる工夫を一緒に見ていきましょう。
独学でスキルを伸ばすなら、複数の手段をバランスよく取り入れるのが効果的です。書籍で体系的に学び、動画でイメージをつかみ、学習サイトで手を動かしてみる。このように多角的なアプローチをとることで、理解を深めやすくなります。自分のペースで進められるので、忙しい日々のなかでも無理なく学びを継続できます。
より実務に近い環境で学びたい場合は、体系的に設計されたカリキュラムを通じて、設計や開発の流れを体験できる場が適しています。基礎を押さえたうえで応用的な内容に進むことで、現場でも通用する力を養いやすくなります。周囲と協力しながら進める場面もあり、スキルだけでなく実務での対応力も身につけやすいのが特徴です。
学習を続けていく中で、自分だけでは気づきにくい視点を得られるのが、仲間との交流や現場に近い声にふれる場です。勉強会や技術に関するイベントなどでは、実際に働いている人のリアルな話や、いま注目されているトピックにふれる機会があります。人とのつながりが刺激になり、学びの意欲がより高まることもあります。
WAKE Careerでは、アプリケーションエンジニアを含むITエンジニア向けに、定期的な勉強会やイベントを開催しています。過去には、Androidアプリエンジニア/マネージャーとして活躍する「まいさん」を招いたトークセッションが開催されました。

アプリケーションエンジニアという職種は、時代の変化とともに求められる役割も広がりつつあります。
自動化やAI技術の発展によって、一部の業務は機械に置き換わるようになりました。けれども、それはすべてのエンジニア職が不要になるという話ではありません。むしろ、アプリケーションエンジニアのように「仕組みをつくる側」に立つ職種は、引き続き重要な存在とされています。
アプリケーションは、業務システムやWebサービス、モバイルアプリなど、多くの場面で人や企業の活動を支えています。今後も新しいサービスが生まれる限り、それを形にする技術者の役割はなくならないといえるでしょう。

アプリケーションエンジニアとしての実力は、日々の経験や実践の中で育まれていくものです。その一方で、「資格があったほうが有利なのでは?」と感じる場面もあるかもしれません。ここでは、よくある疑問を取り上げながら、資格とキャリアの関係を整理していきます。
アプリケーションエンジニアの転職において、資格は必須ではありません。実際、多くの企業が実務経験やスキルセットを重視しています。開発経験やプロジェクトの実績があれば、それが強みとして評価されやすくなります。
ただし、応募先やポジションによっては、一定の知識を証明できる資格がプラスに働くケースもあります。未経験分野へのチャレンジや、スキルの幅を広げたい場合など、目的に応じて活用するのが効果的です。
資格を取得するなら、まずは基礎を固められるものから始めると取り組みやすくなります。たとえば、国家資格の「基本情報技術者試験」は、アプリケーションエンジニアに必要な幅広い知識を網羅しているため、最初の一歩として適しています。
そのうえで、得意分野や関心のある領域に応じて、プログラミング言語やモバイル開発などの専門資格に進むと、実務との接続もしやすくなります。方向性が明確であれば、資格取得の学びもより実りあるものになるでしょう。
資格そのものがキャリアアップを保証するわけではありませんが、一定の知識やスキルを備えている証明として、選考時や評価の場で活かされることがあります。とくに、未経験分野への転職や業務領域の拡大を目指す際には、資格が後押しになる場面もあるでしょう。また、学習の過程で得た知識が実務の中で役立ったり、チーム内での信頼につながったりと、間接的な効果も少なくありません。

引用:WAKE Career
アプリケーションエンジニアとして歩んでいく中で、資格の取得を考えるタイミングは人それぞれです。どんな資格が合っているのか、そもそも必要なのか、迷いがあるのは自然なことだと思います。
WAKE Careerでは、転職を前提にしないご相談や、リアルな経験を共有できるコミュニティ、動画での学び直しなどのサポートをご用意しています。キャリアのことを話すのに、準備や完璧さは必要ありません。モヤモヤのままでも、まずは話してみることで、少し視界がひらけていくかもしれません。出会いや学びが、次の自分につながっていく。そんな場所でありたいと願っています。