
サーバーエンジニアを目指したいけれど、どんな資格を選べばいいのか迷ってしまう…。
このような気持ちを抱えている方へ。この記事では、現場で役立つおすすめ資格や、自分に合った学び方をわかりやすくご紹介します。

サーバーエンジニアとして働くうえで、資格は必ずしも必要ではありません。それでも、多くの方が資格取得を目指すのは、資格が持つ「目に見えるメリット」があるためではないでしょうか。
ここでは、サーバーエンジニアが資格を取得することで得られる4つの主な利点を紹介します。
サーバーエンジニアの仕事では、日々の業務が裏方になりがちで、どれだけの知識や技術を持っているかを言葉だけで伝えるのは難しいものです。
そんなときに、資格は客観的なスキルの証明として機能します。書類選考や面接の場でも、一定の学習意欲や理解度を示す材料となるでしょう。
資格は転職活動の際に、ひとつの強みとして評価されることがあります。たとえば同じような経験を持つ応募者が複数いた場合、資格の有無が採用を左右する場面もあります。
また、企業によっては「資格手当」や「資格保持者限定のポジション」などを設けているケースもあり、結果的に年収アップやキャリアアップにつながる可能性もあるでしょう。特にクラウドやセキュリティに関する資格は、現在の需要の高まりとともに注目されています。
資格の勉強は、単なる暗記にとどまらず、実務で役立つ知識や考え方を整理する良い機会になります。
たとえばネットワークの資格であれば、構成図の読み方やトラブル対応の手順など、日常の業務に直結する内容も多く含まれています。

サーバーエンジニアとして資格取得を考える際、「どれを選ぶべきか」で悩む方は少なくありません。資格は種類もレベルもさまざまで、それぞれに特徴があります。
ここでは、自分に合った資格を見つけるための4つの視点をご紹介します。焦らず、自分のペースで判断していくことが大切です。
将来的にどのような働き方をしたいかを考えると、必要なスキルが見えてきます。たとえば、技術を深めてスペシャリストを目指すのであれば、OSやネットワークの専門資格が選択肢になります。
一方で、チームをまとめたりプロジェクト全体に関わる立場を目指す場合は、マネジメント系の資格が役立つこともあるでしょう。
IT業界は変化のスピードが非常に早く、数年前まで主流だった技術が今ではほとんど使われていない、ということも珍しくありません。
たとえばクラウドやセキュリティ分野は今後も需要が高まると予想されており、関連する資格の価値も上がっています。
資格を選ぶ際は、現在の自分に必要な知識だけでなく、少し先を見据えた選択を意識することがポイントです。
資格によって、必要な学習時間や費用は大きく異なります。受験料だけでなく、教材費や講座受講料も含めると、数万円規模になることも珍しくありません。さらに、学習時間も短期間で挑戦できるものから、100時間以上かかるものまでさまざまです。
こうしたコストをかける価値があるかどうかは、「その資格で何を得たいのか」によって変わります。転職や昇進に直結するのか、実務で活用できるのかなど、取得後の効果を見据えて判断することが重要です。
IT未経験やサーバー分野が初めての方は、まずは基本的な知識を身につけられる汎用的な資格から始めるのがおすすめです。
たとえば「ITパスポート」や「基本情報技術者試験」は、幅広いITの知識を学べるため、どの分野に進むとしても土台になります。また、Linuxに興味がある方は「LinuC」や「LPIC」の初級レベルから挑戦してみるのもよいでしょう。

サーバーエンジニアとして働くうえで、OS(オペレーティングシステム)の知識は欠かせません。業務ではLinuxやWindows Serverなど、プロジェクトによってさまざまなOSに触れる機会があります。ここでは、実務で役立ちやすく、学習の段階に応じて選べる3つの資格を紹介します。
※一部の受験料は米ドルを円換算した目安です。為替や支払方法により変動します。
試験内容:Linuxの基本操作、システム管理、セキュリティ、仮想化技術など
開催時期:通年(ピアソンVUEテストセンターで随時実施)
難易度:レベル1〜3(初級〜上級)
受験料:1試験あたり16,500円(税込)
LinuCは、日本市場に合わせて設計されたLinux技術者向けの資格です。基礎から応用まで3つのレベルが用意されており、自分のスキルに応じて段階的に学べるのが特徴です。
レベル1では、Linuxの基本的な操作や設定方法を学ぶことができ、未経験からでも取り組みやすい構成になっています。レベルが上がると、サーバーの設計や仮想化、セキュリティ対策といった実践的な知識も問われるようになります。
特に国内企業のサーバー環境ではLinuxの使用率が高いため、LinuCを取得しておくことで現場での対応力が広がります。
公式サイト:Linux Professional Institute (LPI)
試験内容:Linuxの基本操作、ネットワーク設定、セキュリティ、仮想化技術など
開催時期:通年(ピアソンVUEテストセンターで随時実施)
難易度:レベル1〜3(初級〜上級)
受験料:1試験あたり16,500円(税込)
LPICは、LinuCと同様にLinuxに関する知識を証明する資格ですが、こちらはカナダの認定機関が提供する国際的な資格です。日本国内だけでなく、海外での評価も高いのが特徴です。
試験はレベル1から3まであり、基礎から専門的な領域までをカバーしています。レベル1では、Linuxの基本操作やユーザー管理、ネットワーク設定などが出題されます。レベル3になると、混在環境の構築や高度なセキュリティ設定まで含まれる内容になっていきます。
公式サイト:Linux Professional Institute (LPI)
試験内容:Azureの実装、管理、監視など
開催時期:通年(テストセンターまたはオンラインで随時実施)
難易度:中級
受験料:約21,103円
Windows Serverを扱う業務が多い方には、マイクロソフト社の認定資格が役立ちます。従来の資格体系は変更され、現在は「Azure」関連の認定資格が中心となっていますが、その中にWindows Serverに関する内容も含まれています。
たとえば「Azure Administrator Associate」や「Azure Solutions Architect Expert」などは、クラウドとサーバー管理の両方をバランスよく学べる構成になっています。今後、オンプレミス(社内設置型)とクラウドの両方に対応できるスキルが求められる場面はさらに増えると考えられます。
公式サイト:Microsoft Learn

サーバーとネットワークは密接につながっており、サーバーエンジニアにも一定のネットワーク知識が求められます。とくに現場では、トラブルの原因がネットワーク側にあることも多いため、理解があるとよりスムーズに対応できます。ここでは、ネットワーク領域で評価されやすい資格を3つご紹介します。
※一部の受験料は米ドルを円換算した目安です。為替や支払方法により変動します。
試験内容:ネットワークの基礎、IP接続、セキュリティの基礎など
開催時期:通年(テストセンターまたはオンラインで随時実施)
難易度:初級〜中級
受験料:約42,900円
CCNAは、ネットワーク機器メーカーとして有名なシスコシステムズ社が提供している資格です。ネットワークの基礎知識からセキュリティ、クラウド、オートメーションといった幅広いテーマをカバーしており、ネットワークエンジニアの登竜門としても知られています。
CCNAを取得していることで、ルーターやスイッチといった機器の基本操作や、IPアドレス・通信の仕組みに関する理解があることを示せます。
公式サイト:Cisco
試験内容:ネットワークの設計、実装、トラブルシューティングなど
開催時期:通年(テストセンターまたはオンラインで随時実施)
難易度:上級
受験料:コア試験 約57,200円、コンセントレーション試験 約42,900円
CCNPは、CCNAの上位資格にあたるもので、より実践的かつ高度なネットワーク構成やトラブルシューティングに対応できる力が問われます。こちらもシスコ社の資格で、現場経験を重ねてきた方にとっては、知識の整理と深掘りのきっかけになるでしょう。
CCNPの試験は、コア試験と専門分野の選択試験の2本立てとなっており、扱う内容も多岐にわたります。受験には実務経験が前提とされるわけではありませんが、実際には数年程度の業務経験を積んだ上で挑戦する方が多く見られます。
公式サイト:Cisco
試験内容:IT全般の知識、応用力、専門分野の技術力など
開催時期:年2回(春期・秋期)
難易度:レベル1〜4(初級〜上級)
受験料:7,500円(税込)
情報処理技術者試験は、経済産業省が実施する国家資格で、IT全般の幅広い知識を証明できます。中でも「ネットワークスペシャリスト試験」は、ネットワーク分野に特化した高度な専門資格として評価されています。
この試験では、設計・構築から運用・保守、さらにはセキュリティ対策まで、実践的な内容が問われます。資格自体の知名度も高いため、履歴書に書いたときの信頼感も強く、転職時のアピール材料として効果的です。
公式サイト:IPA 独立行政法人 情報処理推進機

サーバーエンジニアとして専門スキルを深めるのも大切ですが、周囲との連携や上流工程への理解があると、さらに仕事の幅が広がります。
ここでは、ITサービス全体を俯瞰する視点や、マネジメント力を高めるうえで役立つ3つの資格をご紹介します。技術力だけでは補えない「ビジネス感覚」や「現場対応力」を身につけたい方にとって、大きな一歩になるかもしれません。
試験内容:ITサービスマネジメントの基本概念、用語、プロセスなど
開催時期:通年(テストセンターまたはオンラインで随時実施)
難易度:初級
受験料:67,793円(税込)
ITIL(アイティル)は、ITサービスをより安定的かつ効率的に提供するための考え方を学べる資格です。特定の製品や技術に偏らない内容なので、幅広い現場で役立つのが特徴です。
サーバー運用に関わる場面では、トラブル対応や変更管理、問い合わせ対応など、利用者とのやり取りも重要な業務になります。そうした場面で、ITILの考え方を取り入れておくと、混乱を避けて落ち着いた対応ができるようになります。
とくにITILファンデーションは初学者にも学びやすく、実務経験が浅い方でも取り組みやすいため、基礎を固めたいと考えている方におすすめです。
公式サイト:Axelos
試験内容:プロジェクトの計画、実行、管理、評価など
開催時期:年1回(秋期)
難易度:上級
受験料:7,500円(税込)
プロジェクトマネージャ試験は、情報処理技術者試験の中でも、マネジメント力を問う高度な国家資格です。チームをまとめて成果を出す力や、計画・予算の管理など、技術とは異なる側面のスキルが求められます。
サーバーエンジニアとして経験を積んでいくと、いずれは複数の関係者と連携しながら、プロジェクト全体を見渡す立場になることもあります。そのときに、マネジメントの知識があると判断や進行がスムーズになります。 難易度は高めですが、取得すればキャリアの選択肢が大きく広がります。将来的にマネジメントやリーダー職を目指している方にとって、有力なステップになる資格です。
公式サイト:プロジェクトマネジメント協会
試験内容:IT経営推進プロセス、経営戦略、IT戦略など
開催時期:年2回(1月〜3月、7月〜9月)
難易度:中級
受験料:19,800円(税込)
ITコーディネータは、経営とITの両方を理解し、企業の課題解決をサポートできる人材であることを証明する資格です。特定の製品知識だけでなく、ITを使って「何をどう良くしていくか」という視点を学ぶことができます。
この資格は、単に技術を使いこなすのではなく、経営的な視点を持ってシステム導入を計画・実行できる力を身につけることが目的です。現場でのトラブル対応に加えて、業務改善やシステム戦略の立案などにも関わっていきたい方にとって、心強いスキルになるでしょう。
また、試験合格後にはケース研修と呼ばれる実践的なトレーニングが行われるため、実務で活かしやすい実践力も養えます。将来、ITコンサルタントや上流工程へのキャリアチェンジを検討している方にも適した資格です。
公式サイト:情報処理学会

資格を取りたいと思っても、「どこから始めればいいのか分からない」と感じる方も多いのではないでしょうか。ここでは、自分に合った資格を見つけ、無理なく進めていくための4つのステップをご紹介します。
まずは、「どんな働き方をしてみたいか」「どんなエンジニアになりたいか」といった、これからの自分の姿を思い描いてみましょう。たとえば「もっと専門性を高めたい」「チームをまとめる立場になりたい」など、漠然とした気持ちでもかまいません。
将来の方向性が少しでも見えてきたら、資格のジャンルをざっくりと見渡してみましょう。たとえば、サーバーの運用に関わるならOS系やネットワーク系、ゆくゆくはチーム運営にも携わりたいならマネジメント系などが候補になります。無理に一つに絞らなくても大丈夫です。関心のある分野を広く見てみましょう。
資格には、入門向けから上級者向けまでさまざまなレベルがあります。つい「どうせなら上を目指さなきゃ」と思ってしまいがちですが、基礎から丁寧に学べる初級資格も、実務ではしっかり役立ちます。たとえば、未経験の方ならLinuCレベル1やITパスポートなどからスタートするのも良い選択です。
資格の勉強は、どうしても「全部覚えなきゃ」と気負いがちですが、完璧を目指すよりも“続けられる工夫”を大切にしましょう。たとえば、通勤時間に動画で学んだり、週末にまとめて復習したりと、自分に合ったペースを見つけることがコツです。

サーバーエンジニアとしての資格を目指すうえで、「どんな方法で勉強すればいいのか」と迷う方も多いかもしれません。学習スタイルは人それぞれですが、無理なく続けられる方法を選ぶことが、合格への近道になります。
ここでは、実務にもつながるおすすめの学習法を4つご紹介します。
資格試験の対策には、まずは公式テキストや問題集を使った学習が基本になります。出題範囲を把握したうえで、重要ポイントをしっかり押さえていくことで、効率よく理解を深められます。
とくに過去の問題を繰り返し解いておくと、出題傾向や自分の苦手な部分も見えてきます。はじめて挑戦する資格であっても、何から手をつければよいか明確になるので安心です。
サーバー関連の資格では、単に知識を覚えるだけでなく、実際の操作に触れることも大切です。そんなときは、自分のパソコンに仮想環境(仮想マシン)をつくって、手を動かしながら学ぶのがおすすめです。
たとえばLinuxのインストールや設定変更、ログの確認などを自分で試してみると、知識がより深く定着します。間違えてもやり直しがきく環境なので、未経験の方でも安心して取り組めます。
毎日が慌ただしくて、まとまった勉強時間をとるのは難しいもの。そんなときは、移動中などにWeb教材や動画講座を少しずつ活用するのもおすすめです。スマートフォンやタブレットでも気軽に学べるため、通勤時間やちょっとした休憩中にも学習が進められます。
最近では公式団体が配信している信頼性の高い動画コンテンツも増えており、初心者向けにわかりやすく解説された講座も多数あります。自分のペースで学びたい方にぴったりの方法です。
「ひとりでは続けられるか不安」「体系的にしっかり学びたい」という方には、専門スクールに通うのも良い選択です。カリキュラムに沿って段階的に学べるうえ、わからない部分をすぐに講師へ質問できる点も魅力です。費用や通学の手間はかかりますが、短期間で集中的に学びたい方には心強い環境といえるでしょう。

引用:WAKE Career
資格は、サーバーエンジニアとしての未来を広げるための“ひとつの道しるべ”です。今の自分に足りないものを知ったり、新しいチャンスへの扉を開いたり、きっかけになることもあるでしょう。
WAKE Careerでは、あなたのペースを大切にしたキャリア支援を行っています。「資格を取りたいけど何から始めればいいのか」など、気になることがあれば、是非お気軽にご相談下さい。