
「エンジニア=男性」というイメージ、まだ残っていませんか?
実は少しずつ変わり始めています。
本記事では、女性エンジニアが少ない背景やその理由、現場での課題、そして女性だからこそ感じられる働きやすさやメリットまで、詳しく解説します。

以下では、「女性エンジニアが少ない理由」というテーマのもとに、3つの視点から丁寧に理由を紐解いていきます。
それぞれが絡み合いながら、今なお多くの女性がエンジニアとしての道に踏み出しにくい状況をつくっている背景をご紹介します。
身近に目指せる姿が見つからないと、自分の未来を重ねるのは難しいものです。
エンジニアの世界では、今なお女性の比率が少なく、特に現場の第一線で活躍する女性が目立ちにくい傾向があります。
そのため、後に続く世代の女性たちが「自分もなれるかもしれない」と感じる機会が少なく、選択肢の一つとして想像しづらいという現実があります。
とくに若い世代や未経験の方にとっては、「ロールモデル」となる存在の有無が、将来を描くうえで大きな鍵になります。
エンジニアとしての働き方が、まだまだ「一部の人にとってのみ優しい環境」になっていることも、女性が少ない理由の一つです。
例えば長時間労働の文化や、突発的な対応が求められる現場では、ワークライフバランスを確保するのが難しい場合があります。
「ライフステージの変化にあわせて働き続けられるかどうか」への不安や、「将来的に管理職になったときにサポートがあるのか」といった懸念も、キャリア選択に影響を及ぼしています。
柔軟な働き方を認める企業も増えてきましたが、まだ業界全体での浸透には課題が残っています。
「エンジニアは男性の職業」という固定観念は、今も少なからず社会の中に根付いています。
子どものころから理系分野に進む女子が少ない背景には、「数学や技術は男性向き」というイメージが影響していることもあります。
また、企業の採用現場や職場の文化においても、無意識のうちに性別で役割を決めつけてしまう場面があることも否めません。
こうした社会全体の偏見や先入観が、女性自身の可能性を狭めるだけでなく、挑戦する勇気にブレーキをかけてしまっているのです。

ここでは、女性エンジニアとして働く中で直面しやすい具体的な課題について取り上げます。
キャリアの中で感じる違和感や働きにくさの背景には、個人の努力では乗り越えにくい構造的な問題も多く含まれています。
努力や成果があっても、次のステージへの道が見えにくいと感じることがあります。
多くの企業では昇進の基準が曖昧だったり、無意識のうちに「管理職は男性が多いもの」といった前提で判断がなされることがあります。
その結果、女性エンジニアのキャリアパスが途中で頭打ちになるようなケースも少なくありません。
責任あるポジションを目指したくても、前例が少なく相談相手もいないことで、自信を持ちづらくなることもあります。
ふとしたときに「自分だけが違う」と感じてしまう場面もあります。
IT業界には長年にわたって築かれてきた男性中心の文化が根強く残っている現場もあり、雑談の内容や働き方の前提、評価のされ方などが、女性にとって居心地の悪いものであることも。
たとえば、長時間働くことが当然とされる職場では、効率よく働く人が評価されにくいといったケースもあり、価値観の違いに戸惑うことがあります。
理解されにくい体調の変化が、働き方に影響することもあります。
たとえば生理やPMS、妊娠初期の不調などは、見た目ではわかりにくい一方で、集中力や体力に影響を及ぼすことがあります。
こうしたデリケートな問題について、職場でオープンに話すのが難しい場合も多く、一人で抱え込みやすい傾向があります。
制度が整っていても、使いづらい雰囲気があると、実質的なサポートにつながらないこともあるのです。
「話せる人がいない」「仲間が見つからない」と感じることはありませんか?
女性エンジニアは、職場で数少ない存在となることが多く、自然と孤独感を抱えてしまうことがあります。
業務の悩みやキャリアの不安を相談できる相手が見つけにくく、メンタル面での負担を感じることもあるでしょう。
同じような経験を持つ人とつながれる場があるだけで、気持ちが大きく軽くなることもあります。
キャリアと家庭の両方を大切にしたいと思うとき、働き方の選択に迷うことがあります。
たとえば子どもの急な体調不良や、保育園の送り迎えが必要な生活リズムに合わせた働き方を求めたとき、それを支える制度やチームの理解がなければ、仕事を諦めざるを得ない状況に直面することも。
柔軟な勤務形態が導入されつつあるとはいえ、現場ごとの運用に差があるのが実情です。
働き続けるためには、職場の文化や仕組みとどう向き合うかが重要になります。

近年、IT業界における女性エンジニアの数は着実に増加しています。
例えば、2013年から2023年の10年間で、女性のITエンジニアへの新卒就職者数は約2.7倍に増加し、2023年には全体の29.1%を占めるまでになりました。
参考:ITエンジニアへの就職動向レポート
この増加の背景には、ダイバーシティ経営の推進や、働きやすい環境づくりへの取り組みが挙げられます。
リモートワークやフレックス制度の導入、女性のキャリア支援など、多様な人材が活躍できる場が広がっています。
女性エンジニアの数は増加傾向にあり、今後もさらなる活躍が期待されています。
多様な人材が共に働くことで、IT業界全体の発展にもつながるでしょう。

ここからは、女性エンジニアとして働くことのメリットについてご紹介します。
厳しさが語られることも多い業界ですが、だからこそスキルを活かし、柔軟に働けるチャンスも広がっています。
前向きにキャリアを築いていきたい方にとって、魅力的なポイントが数多くあります。
努力と実力次第で、しっかりとした報酬を得られる可能性があるのも、エンジニア職ならではです。
他職種に比べて年収のベースが高く、かつスキルや成果に応じて評価されやすいため、性別にかかわらず年収アップが期待できます。
たとえば新しい技術を習得したり、プロジェクトでリーダーを担ったりすることで、年収が数十万円単位で変わることも珍しくありません。
「頑張った分だけ報われたい」と思う方にはぴったりの職種です。
オンライン講座や学習支援ツールの普及により、学びの機会はこれまで以上に身近なものになっています。
今では、自宅で動画を見ながら学べるコンテンツや、女性向けに設計されたコミュニティ型の勉強会なども増えています。
仕事をしながらでも少しずつスキルを磨ける環境が整っており、「今からでは遅いかも」と感じる方でも無理なくスタートできます。
技術の世界は常に変化していますが、その分、自分のペースで成長できる選択肢も豊富にあるのです。
働き方を自分で選べる柔軟さは、女性にとって大きな魅力のひとつです。
近年は、フレックスタイム制度、フルリモートなど、企業側も多様な働き方に対応するようになっています。
とくにIT業界では、成果を重視する文化が根付きつつあり、出社の有無よりも「何ができるか」を見られる傾向があります。
自分の生活に合わせつつ、柔軟に調整しながら働きやすい環境が整ってきています。
一度離職しても、スキルがあれば戻りやすいのがエンジニアという職種の大きな特長です。
たとえば育児や介護など、ライフステージの変化で一時的に仕事を離れても、経験や技術があれば復職のハードルは比較的低めです。
需要の高い分野であれば、週3日勤務や時短勤務といった条件でも受け入れてくれる企業が増えています。
実力が重視される職種だからこそ、働き方の選択肢が広がっているのです。

では、女性エンジニアが安心して力を発揮できるよう、企業がどのような取り組みを行っているのかをご紹介します。
こうした環境づくりが進んでいることで、キャリアをあきらめずに続けていく選択肢が増えています。
多様な人材が活躍できる環境を整えるために、企業では「ダイバーシティ推進」が重要なテーマとなっています。
たとえば、女性の管理職登用を積極的に行う企業や、社内にジェンダー平等を考えるプロジェクトチームを設けている企業もあります。
社内での無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)を減らす研修を実施したり、多様な立場の意見を取り入れる風土を育てたりと、単なる数合わせではなく「女性が働きやすくなるための仕組み」として本気で取り組む企業が増えています。
事例| 株式会社資生堂

引用:Diversity & Inclusion in Shiseido
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を重要な経営戦略の柱と位置づけています。
具体的な取り組みとして、女性管理職の育成を目的とした「女性リーダー育成塾(NEXT LEADERSHIP SESSION for WOMEN)」を2017年から開始し、2022年からはキャリアメンタリングプログラムを実施しています。
これらの施策により、2024年1月1日時点で国内資生堂グループの女性管理職比率は40.0%に達しています。
「女性エンジニアとして自信を持ってステップアップしてほしい」という思いから、企業によっては女性限定の研修制度を用意しているところもあります。
たとえば、リーダーシップ研修やスキルアップ講座、メンタリングプログラムなど、段階的に成長を支える仕組みが整っています。
同性のロールモデルに出会える機会でもあり、将来の自分の姿を想像しやすくなることもメリットのひとつです。
こうした支援を通じて、キャリアの選択肢を広げるきっかけにもなります。
事例| 株式会社資生堂

引用:Diversity & Inclusion in Shiseido
女性リーダーのパイプライン強化を目的として、2017年から「女性リーダー育成塾」を開始しました。
このプログラムは、社長自らが塾長となり、女性社員が自分らしいリーダーシップを発見・発揮することを支援しています。
これまでに累計202名が受講し、そのうち64名が昇格しています(2022年時点)。
参考:Diversity & Inclusion in Shiseido
場所や時間にとらわれずに働ける体制づくりも、多くの企業で進められています。
フレックスタイム制やリモートワークの活用、時短勤務など、従来の「決まった時間に決まった場所で働く」という前提から少しずつ解放されつつあります。
とくにIT業界では、成果で評価する文化が根付いてきており、「柔軟に働きたいけれどキャリアも諦めたくない」という方にとっては、理想に近い環境が整ってきています。
こうした働き方を選べることが、長く安心して続けられる理由のひとつです。
事例|株式会社はてな

引用:はてなプレスリリース
2020年から「フレキシブルワークスタイル制度」を導入し、在宅勤務手当やフルフレックス制度を採用しています。
社員は自宅での勤務や全国どこからでも働くことが可能となり、ワークライフバランスの向上に繋がっています。
参考:はてなプレスリリース

ここからは、女性エンジニアの数を今後さらに増やしていくために必要とされる対策についてご紹介します。
個人の努力だけでは変えられない構造的な課題に対し、社会全体でどのように向き合っていけるかがカギとなります。
将来の進路を考える前の段階から、理系分野に触れる機会を増やすことが大切です。
STEMとは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の頭文字を取った言葉で、これらの分野に興味を持つ子どもたちを育てることを目的とした教育方針です。
特に女子中高生に向けた体験イベントやプログラミング教室、女性講師による出張授業などは、「理系も面白い」と感じてもらうきっかけになります。
早い段階で成功体験を積めるような教育環境が、将来的な進路の選択肢を広げる第一歩になります。
社会に根付いた無意識の偏見を見直す取り組みも重要なポイントです。
たとえば「理系は男性向き」「管理職は男性が多いもの」といった固定観念が、進路選択や採用、昇進の場面で無意識に影響を与えていることがあります。
企業や教育機関での研修や啓発活動、メディアの伝え方を通じて、そうした偏ったイメージを少しずつ解きほぐしていく必要があります。
性別にとらわれない「その人らしいキャリア」が選ばれる社会が、女性エンジニアの増加を後押しします。
エンジニアとしての道を歩み続けられるよう、長期的なキャリア支援が求められています。
たとえば、女性向けのキャリア相談窓口や、同じ立場で働く仲間と出会えるコミュニティ、現役エンジニアによるメンタリング制度などがあると、相談しやすく安心感にもつながります。
また、復職やキャリアチェンジに役立つ再教育プログラムの提供も効果的です。
「やってみたい」と思ったときに支えてくれる場所があることで、挑戦へのハードルはぐっと低くなります。

引用:WAKE Career
女性エンジニアが少ない背景には、長年の固定観念や環境の課題がありました。
しかし今、働き方の多様化や企業の取り組みによって、少しずつ道は開かれつつあります。
スキルを活かして長く働ける職種として、エンジニアという選択肢は、これまで以上に現実的で魅力的なものになっています。
それでも、キャリアに迷いや不安を抱える瞬間は誰にでもあるものです。そんなときに大切なのは、「一人で考えすぎないこと」。
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