「成長できる環境です」という言葉は多くの会社が使いますが、その中身は会社ごとに大きく違います。このコラムでは、最初の職場を選ぶときに「育つ環境かどうか」を、仕事の任され方、フィードバックの回り方、評価の公平さという3つの視点から見極める方法を整理します。最後に、説明会や面接ですぐに使える質問もまとめました。
就職活動や転職活動で会社の情報を見ていると、「若手から活躍できる」「成長できる環境」といった言葉によく出会います。どれも魅力的に聞こえますが、言葉だけでは、入社後に自分がどんな毎日を過ごすのかまではわかりません。
そこでおすすめしたいのが、「成長」をいくつかの要素に分けて考えることです。たとえば、どんな仕事を、どのくらいの段階で任されるのか。やってみた結果について、誰が、どのくらいの頻度で振り返りをしてくれるのか。そして、その頑張りがどのように評価されるのか。
この3つがかみ合っている職場では、少しずつ挑戦し、振り返り、次に生かすという流れが自然に回ります。反対に、どれか1つが欠けていると、忙しく働いているのに手応えが残らない、ということも起こりえます。「育つ環境」とは、本人のやる気だけに頼らず、この流れを支える仕組みがある職場だと考えると、見るべきポイントがはっきりしてきます。
若いうちから大きな仕事を任されることは、確かに成長のきっかけになります。ただ、いきなり一人で抱えることになると、何がうまくいき、何が足りなかったのかを整理する余裕がなくなってしまいます。
確かめたいのは、任される仕事の大きさに段階があるかどうかです。最初は先輩と一緒に進め、次に一部を一人で担当し、やがて全体を任される。こうした道筋が会社として意識されていると、背伸びをしながらも足場を失わずに進めます。
IT・AIの領域では、技術や道具の移り変わりが早く、新しいことに触れる機会自体は多い傾向があります。だからこそ、「新しいことに触れられるか」だけでなく、「それを自分の力として身につけるまで付き合ってもらえるか」に目を向けておくと安心です。
同じ仕事をしても、振り返りがあるかどうかで、身につくものは大きく変わります。半年や1年に一度の面談だけでなく、日々の仕事の中で「ここはよかった」「次はこうしてみよう」と声をかけ合う習慣があるかどうかは、育つ環境を見極めるうえで大切なポイントです。
たとえば、コードレビューや資料の確認を、誰がどのように行っているのか。上司やメンターとの1対1の時間が定期的にあるのか。質問しやすい雰囲気や、困ったときに相談できる相手がはっきりしているのか。
こうした仕組みは、求人票にはなかなか書かれていません。だからこそ、説明会や面接、社員の方と話せる機会に、具体的な場面を聞いてみる価値があります。
もう1つ見ておきたいのが、評価の仕組みです。どれだけ挑戦し、振り返りを重ねても、その頑張りが公平に評価されなければ、続けていくことは難しくなります。
評価の基準が言葉にされ、本人にも共有されているか。上司との相性や、声の大きさ、働き方の事情などによって評価が左右されにくい工夫があるか。育児や介護、体調などで働き方が変わる時期があっても、キャリアが途切れにくい制度や実際の運用があるか。
WAKE Career は、女性エンジニアのキャリア支援から始まりました。その中で大切にしてきたのが、「一人ひとりが公平に評価される職場とつなぐ」という視点です。これは誰にとっても、長く育っていくための土台になると考えています。若手のうちから、この点に目を向けておくことをおすすめします。
ここまでの3つの視点を、実際に確かめるための質問に置き換えてみましょう。たとえば、次のような聞き方があります。
「最近入社した方は、最初の数か月でどんな仕事を担当していますか」
「仕事の振り返りは、どなたと、どのくらいの頻度で行っていますか」
「評価の基準は、社員の方にどのように共有されていますか」
これらは相手を試すための質問ではなく、入社後の自分の姿を具体的に思い描くための質問です。答えの内容だけでなく、具体的なエピソードがすぐに出てくるかどうかも、職場の様子を知る手がかりになります。
今週末、少し時間がとれたら、気になっている会社を1つ思い浮かべて、聞いてみたい質問を3つメモに書き出してみてください。次に説明会や面接、社員の方と話す機会があったとき、そのメモがきっと役に立つはずです。
最初の職場は、その後のキャリアの土台になります。言葉の印象だけで決めず、「どんな仕組みで育っていけるか」を一緒に確かめていきましょう。